診療内容

脳神経疾患外来

こんなお悩み
ありませんか?

  • 手足がしびれる、または力が入らない
  • 突発的にめまいを感じ、立っていられない
  • ろれつが回らない
  • 頭が重く感じ、体調が不安定
  • 歩行時にふらつきがある
  • 言語がうまく発音できない、または発話が遅れる
  • 片側の顔や体がしびれる、または麻痺する
  • 寝起きや仕事中に体のバランスが取れなくなる
  • 視界がぼやける、または片目が見えづらくなる
  • 約束や予定を忘れることが増えた
  • 手や足が動きにくくなる、もしくは震える
  • よく知っている場所で道に迷う
  • 顔面がけいれんする

脳神経疾患とは

脳神経疾患とは、脳、脊髄、末梢神経などの神経系に関連する病気の総称です。私たちの体の司令塔である脳や神経系に何らかの異常が生じることで、運動機能、感覚機能、認知機能、言語機能などに様々な障害が現れます。これらの疾患は、頭痛、めまい、しびれ、手足の脱力、言語障害、記憶障害、ふるえなどの多様な症状を引き起こし、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。脳神経疾患は脳神経外科と脳神経内科(神経内科)が専門的に診療を行う分野で、その種類は多岐にわたります。

くも膜下出血

くも膜下出血は、脳を覆う3層の膜のうち、くも膜と軟膜の間の空間(くも膜下腔)に出血が起こる疾患です。約80%の原因は脳動脈にできた動脈瘤の破裂によるもので、その他に外傷や脳動静脈奇形の破裂も原因となります。「これまでに経験したことがないほどの激しい頭痛」が突然現れるのが特徴的で、「バットで殴られたような」と表現されることが多く、嘔吐や意識障害も伴います。重症の場合は意識を失い、死亡率が約50%と非常に高い疾患です。発症直後から24時間以内は再破裂の危険性が高いため、脳動脈瘤クリッピング術や脳動脈瘤コイル塞栓術による緊急処置が必要です。

くも膜下出血

脳出血

脳出血は、脳内の血管が破れることで出血し、血腫を形成して周囲の脳組織を圧迫する疾患です。主な原因は高血圧による動脈硬化で、長期間の高血圧により血管が脆くなり破裂します。高齢者では脳アミロイド血管症も原因となります。症状は出血した部位によって異なりますが、片側の手足の麻痺、しびれ、言葉のしゃべりにくさ、歩行困難、頭痛、めまい、吐き気などが現れます。被殻出血、視床出血、小脳出血、橋出血、皮質下出血の5種類に分類され、出血量や部位により症状の重篤度が決まります。治療は降圧薬による血圧管理が基本で、出血量が多い場合は手術による血腫除去術が行われます。

脳出血(脳内血腫)

脳梗塞

脳梗塞は、脳血管が詰まることで血流が途絶え、脳細胞が酸素不足により壊死する疾患です。原因により「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性脳梗塞」「心原性脳塞栓症」の3つに分類されます。ラクナ梗塞は細い血管の詰まりによる小さな梗塞、アテローム血栓性脳梗塞は太い血管の動脈硬化による詰まり、心原性脳塞栓症は心臓の血栓が脳血管に飛ぶことで起こります。症状は梗塞部位により異なりますが、片麻痺、言語障害、意識障害、視野障害などが突然現れます。発症後4.5時間以内であればt-PA血栓溶解療法や血栓回収療法により劇的な改善が期待できるため、迅速な診断と治療が重要です。治療後は抗血栓薬や抗血小板薬による再発予防が必要となります。

脳梗塞

片側顔面けいれん

片側顔面けいれんは、顔の片側の筋肉が自分の意思とは関係なくピクピクとけいれんする症状です。多くは顔の表情を作る顔面神経が脳の血管に圧迫されることで起こります。まぶたから始まり、口元などに広がり、疲れやストレスで悪化しやすいのが特徴です。命に関わりませんが、放置すると進行することもあります。ボツリヌス毒素注射による対症療法や、原因となっている血管の圧迫を解除する手術(微小血管減圧術)によって、症状の改善や根治が期待できます。

片側顔面けいれん

認知症

認知症は脳機能の低下により記憶力や判断力が損なわれ、日常生活に支障をきたす疾患群です。アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症が三大認知症と呼ばれ、それぞれ症状の出方や進行に特徴があります。アルツハイマー型認知症は記憶障害から始まり、レビー小体型認知症では幻視やパーキンソン症状、血管性認知症は脳血管疾患が原因で段階的に悪化します。
残念ながら認知症の根本治療薬はいまだありませんが、2023年12月に新薬「レカネバブ(商品名レケンビ)・ドナネマブ(商品名ケサニラ)」が登場し、注目を集めています。当院では提携病院へのご紹介が可能です。

認知症

パーキンソン病などの変性疾患

パーキンソン病は、脳内の黒質でドパミンを産生する神経細胞が変性・減少することで起こる運動障害を主とする神経変性疾患です。主な症状は「静止時振戦」「筋強剛(筋固縮)」「動作緩慢」「姿勢反射障害」の4大症状です。安静時に手足がふるえ、筋肉がこわばって歯車様の抵抗を示し、動きが遅く小さくなり、バランスが悪くなり転倒しやすくなります。表情筋の固縮により「仮面様顔貌」も特徴的です。運動症状に加えて便秘、睡眠障害、抑うつなどの非運動症状も現れます。治療はドパミン補充療法(L-ドーパ)が中心で、早期からの治療とリハビリテーションにより症状の進行を遅らせることができます。重症例では視床下核刺激術などの手術療法も選択肢となります。

パーキンソン病

頭部外傷

頭部をぶつけたら、迷わず医療機関へ。
頭部外傷は、見た目が軽くても脳の損傷が隠れていることがあり、放置すると命に関わる重大な可能性があります。「様子を見る」よりも「早めに受診する」ことが、後遺症や重症化を防ぐ鍵です。特に高齢者や小児は症状を自覚・表現しにくいため、周囲の人の観察が重要です。
また、脳損傷は、初期の衝撃だけでなく、その後の炎症や血流障害によって悪化する「二次損傷」が起こることがあります。明らかな症状がなくても、受傷後24時間以内の診断と治療が予後の改善に大きく影響します。
「大丈夫かも」と思っても、少しでも異変を感じたら早期の受診をおすすめします。

こんな症状があればすぐ受診を

  • 意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しない
  • 嘔吐を繰り返す、けいれんを起こす
  • 強い頭痛が続く、または悪化している
  • 手足のしびれや麻痺、視界のぼやけ、言動の異常
  • 鼻や耳からの出血、透明な液体の漏れ
頭部外傷

関連病院への紹介

当院では、より専門的な医療が必要と判断されるケースにつきましては、連携医療機関との密接な協力体制を構築しております。脳血管疾患の急性期対応や高度な検査が必要な患者様に対しましては、24時間体制の専門医療センターへの迅速な紹介を行い、治療後におきましても当院との綿密な連携のもと、継続した診療サポートを提供いたします。

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